「子育てや老後など、将来のために資産を増やしたい」という方の中には、現金や不動産、株などを管理・運用して資産を増やす“資産運用”を検討している方もいるかもしれません。資産運用にはさまざまな種類があり、運用方法やメリット、リスクが異なります。自身に適した投資方法を選ぶためにも、まずは資産運用の目的を明確にすることが大切です。

今回は、資産運用における目的設定の重要性をお伝えするとともに、金融商品の種類や特徴などをリスク別にご紹介します。

資産運用の目的とは?明確化する理由と実際の具体例

資産運用の目的を明確にすることは、適した投資方法を選ぶ上で重要な課題です。以下にて、目的を明確化するメリットや資産運用のシミュレーション例をご紹介します。

資産運用の目的を明確にするメリット

資産運用の目的を定めると、自身に適した投資方法を選択しやすくなります。

「なぜ資産を増やしたいのか」「得た資産を何に使用したいのか」などの目的をはっきりさせることで、「いつまでに」「いくらの資金を用意し」「どのような利率で資産運用をするのか」を考慮した上で投資方法を選べるため、自分に合った方法で資産運用が行えます。

仮に、目的を定めず資産運用を始めてしまうと、資産を増やすことそのものが目的になります。もちろん資産運用において資産を増やしたい、儲けたいという気持ちを持つことは至極当然です。しかし、資産を増やすことそのものが目的になると、リスクをうまく回避できなくなる他、運用の管理がルーズになってしまうことが考えられます。こうした状況に陥らないためにも、資産運用を行う目的を明確にすることは大切なのです。

さらに資産運用の目的を明確化することで、取るべきリスクの程度を判断できます。種類によって程度は異なりますが、資産運用には常にリスクがつきまとうもの。もしも資産運用の目的が曖昧だったり、お金を増やすこと自体が目的になったりすると、「どこまでリスクを背負うべきか」という判断力が鈍り、ハイリスク・ハイリターンの投資に手を出してしまう恐れがあります。しかし資産運用の目的があれば目標資金や達成時期を可視化でき、どの程度のリスクを取ることが賢明なのかが判断しやすくなります。

なお目的を明確化する際は、自分が人生で必要だと考える出費をリストアップするとスムーズです。「やりたいこと(夢)」と「やらなければならないこと(不可欠)」に分けて、それぞれの目標を達成するために適した投資方法を選びましょう。

資産運用の目的とシミュレーションの例

資産運用の目的の多くは、子どもの学費やマイホーム購入の頭金、老後の生活資金など、“将来を見据えた”傾向にあります。

 

以下の表は、300万円を資産運用して増やした場合のシミュレーションです。資産運用では、資金額が同じであっても運用期間と利率によって収益が大きく異なります。3年後、5年後、10年後にいくらになるのか、また利率によって収益がどの程度変わるのかをイメージしてみましょう。

 

2%運用

3%運用

4%運用

5%運用

6%で運用

3年後

318万円

327万円

337万円

347万円

357万円

5年後

331万円

347万円

365万円

382万円

401万円

10年後

365万円

403万円

444万円

488万円

537万円

 

運用期間が長ければ長いほど複利効果によって収益は増し、また利率が高いとリターンも大きくなります。しかし利回りのよい投資はリスクも高いため、安定した資産運用を行いたい場合には注意が必要です。特に投資の知識や経験が少ない方は、リスクの低い投資から始めることをおすすめします。

目標金額や達成時期やリスク、資産運用をする間の生活費のバランスを考慮した上で投資方法を選択し、自身のライフプランに適した資産運用を行いましょう。

計算する人

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ローリスク・ローリターンの資産運用

投資初心者の方でも始めやすいのが、ローリスク・ローリターンの資産運用です。利率が少ないので多額の収益を得ることはできませんが、元本保証のある金融商品が多く、資金を損失するリスクを抑えながら安定した運用ができます。

以下は、ローリスク・ローリターンの代表的な投資です。

銀行預金

普段利用している銀行預金も、資産運用のひとつ。預金口座にお金を預け、その金額に応じて利息が付与されます。預金保険制度によって1,000万円までの元本が保証されているため、損失リスクが殆どありません。銀行預金の金利は一般的に0.001%と低く、資産運用として得られる収益はゼロに等しいといえますが、すぐに引き出せる預金があることで安心感を得られるというメリットがあります。

外貨預金

外貨預金とは、日本円をドルやユーロなどの外国通貨に変えて預金を行うことです。外貨の種類や利用する銀行によって金利の幅は異なりますが、日本円の預金よりも金利が高いものもあり、為替取引においては円安になると利益を得られます。

個人向け国債

個人向け国債は、国が毎月発行している債権です。半年ごとに利子が支払われる他、毎年一定の利息が付与されます。また元本保証もあり、満期になると投資した資金が全額返金されます。個人向け国債は1万円から購入できるので、少額からの資産運用が可能です。金利は3種類で、満期まで金利が変わらない「固定金利型3年満期」と「固定金利型5年満期」、半年ごとに利率が変わる「変動金利型10年満期」があります。決して高い金利ではありませんが、長期間保有してこつこつと資産を増やしたい方にはおすすめです。

確定拠出年金

確定拠出年金は、老後資金を確保するために生まれた私的な資産形成制度です。毎月一定額の掛け金を積み立てて国内株式や海外国債などの資産運用を行うことで、掛け金と運用益の合計額をもとに算出された老齢給付金、障害給付金、死亡一時金、脱退一時金などの給付金を受け取れます。

掛け金の上限額と下限額は、国民年金制度の被保険者種別によって設定されています。
被保険者の種類は3つあり、20歳以上60歳未満の自営業者やその配偶者が該当する「第1号被保険者」、厚生年金に加入している65歳未満の方が該当する「第2号被保険者」、第2号被保険者の扶養に入っている20歳以上60歳未満の方が該当する「第3号被保険者」に分けられます。被保険者別の掛け金限度額は、以下の表のとおりです。

 

 

月額下限

月額上限

年間上限

1号被保険者

5,000円

68,000円

816,000円

2号被保険者(企業年金なし)

5,000円

23,000円

276,000円

2号被保険者

(企業型確定拠出年金あり)

5,000円

20,000円

240,000円

2号被保険者(確定給付年金あり)

5,000円

12,000円

144,000円

3号被保険者

5,000円

23,000円

276,000円

 

確定拠出年金は、「個人型」と「企業型」の2種類です。自身で資金を積み立てて運用する個人型に対して、企業型は企業が資金を積み立て、企業が定めた制度の中で運用を行います。企業の中には、退職金制度として確定拠出年金を導入しているケースもあります。

ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用

ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用は、少額から投資できるのが魅力です。ローリスク・ローリターンの資産運用に比べて利率が高いので、ある程度の収益が期待できます。

以下は、ミドルリスク・ミドルリターンの代表的な投資です。

株式投資

株式投資は、企業の株式を売買して利益を得る投資方法です。

経済状況や政治情勢、市場の動向によって株式が値上がりすることもあり、その際に売却すれば高い利益を得られます。また株式を保有することで配当金や商品を得たり、株主優待を受けられることもあります。

なお、株価は常に変動するため、収益を得るためには値動きを把握しておくことが重要です。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディング事業者が投資家から資金を集めて借り手企業に融資し、その返済金の一部を利益として得る投資方法です。

運用利回りの平均が約8%と高く、11万円からの出資が可能なので初心者でも始めやすいといえます。運用期間は数ヶ月の短期から数年間の長期のものまであり、融資先の都合で運用期間が伸びる可能性もあります。一度運用を始めると途中解約はできませんが、逆に償還(しょうかん)期限までは何もする必要がないため、投資をしたいが時間がないという方にはおすすめです。

投資信託

投資信託は運用のプロである運用会社に資金を預け、代わりに資産運用を行ってもらう投資方法です。

自身で株式の銘柄を選んだり価格変動をチェックしたりする必要がないため、株式や金融に関する知識が浅い方でも気軽に運用できます。銘柄によっては数十万~数百万円の金融商品もありますが、中には1万円から投資できる金融商品もあり、最低額だと100円の金融商品もあります。

なお、信託報酬として各種手数料が発生する他、元本保証がないため損失を出す可能性もあります。投資信託を行う際は、リスクを考慮した上で始めることが大切です。

外貨MMF

外貨MMFは、外貨預金とタイプが似ている投資信託のひとつです。

一般的な投資信託とは異なり、投資家から集めた資金を外貨に換金し、外国の債権を購入して資産運用を行います。外貨預金と比較すると利回りが高く、少額からの投資が可能です。また、購入や解約がスムーズにできる流動性の高さも特徴のひとつです。

元本保証がなく、金利変動や為替の影響を受けやすいというリスクがあるため、外貨MMFを行う際は先進国や資源国、紛争が起きる可能性が低い国など、経済的リスクが低く信用性が高い国を選びましょう。

上場投資信託(ETF

証券取引所に上場しており、売買が行われているのが上場投資信託です。

株価と同様にリアルタイムで価格が変動しており、市場が空いている時間帯であれば売買ができます。価格変動が把握しやすく、投資信託と比べても信託報酬が低いのが特徴です。分散投資をすることができる一方、ETFの商品や市場全体が価格変動の影響を受けてしまうと、損失リスクが発生します。

不動産投資信託(JREIT

不動産投資信託は、投資家から集めた資金をもとにマンションなどの不動産に投資を行う資産運用です。

不動産運用によって得られる家賃や売却益などを配当金として受け取ります。複数の投資家で出資するため自身で物件の運用をする不動産投資よりも比較的始めやすく、複数の物件に投資を行うことでリスクを分散することが可能です。価格変動による元本割れや火災などによるリスクが懸念されますが、運用会社によっては3~5%程の安定した利回りが期待できます。

ハイリスク・ハイリターンの資産運用

ハイリスク・ハイリターンの資産運用は、利率や価格の振り幅が大きいため多額の収益を出すことが可能です。その一方でリスクも大きくなるため、特徴を把握した上で投資を行うかどうかを検討しましょう。

以下は、ハイリスク・ハイリターンの代表的な投資です。

FX

FXは、ドルやユーロなどの外国通貨の換金や売買によって利益を得る投資方法です。

運用の方法は2つあり、ひとつは日本円と外国通貨の金利差を利用して利益を出すスワップポイント、もうひとつは為替レートの変動によって利益を出す為替差益です。

FXの最大の特徴は、レバレッジという手法。借入金や社債などを投資に利用して利益率を高めることができ、少ない自己資金でも大きな取引が可能になります。

例えば、自己資金10万円でFXを行ったとします。1ドル100円のときに購入できるのは1,000ドルで、それを1ドル110円で売却すると利益は1万円になります。しかし同様の取引を20倍のレバレッジをかけて行うと20,000ドル購入でき、20万円の利益を得られるのです。

しかし、レバレッジには多額の損失を招く可能性もあるため注意が必要です。FXは少額からの投資もできるので、初めは少ない資金で資金管理に慣れていくことをおすすめします。

先物取引

特定の商品の将来価格や現物商品、有価証券などを予想し、決められた期日・価格で売買して利益を得るのが先物取引です。

担保となる証拠金を支払うとレバレッジをかけることができるので、多額の取引を行うことができます。しかし、穀物や石油など取り扱う商品によっては、世界情勢による相場の変動を受けて損失が発生します。運用を行うには、景気の変動を常に把握する情報収集力と、世界情勢についての詳しい知識が求められます。

電卓を持つ女性

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目的を決めたら、期間やライフプランに応じた資産運用を選ぶ

資産運用を行う際は、資産運用の目的を明確にして目標金額や資金が必要な時期を決定し、それらの目標を達成できる手段を選ぶことが重要です。とはいえ、短期間で収益を得ようとハイリスク・ハイリターンの投資にばかり手を出すのは得策ではありません。ローリスク・ミドルリスク・ハイリスクの投資を吟味し、自身の目的に適した投資に運用資金を分配することが大切です。

資産運用は種類によってリスクなどが異なるため、それぞれの特徴を把握した上でバランスよく資産を増やしていけるプランを検討しましょう。

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