不動産投資は安定した家賃収入が得られるほか、管理を不動産会社に任せられることから、初心者でも始めやすい資産運用として注目されています。しかし、中には初心者を狙って言葉巧みに言いくるめる業者も多いため注意しなければなりません。

そこで今回は、不動産投資を行うにあたり、気を付けておくべき利回りの種類と仕組みについて詳しく解説します。

不動産投資の利回りは高い

不動産投資の利回りは、ほとんどのケースで5~10%と高い水準を維持しています。

例えば、中古の戸建てを購入して運用した場合は10%以上、都心でアパートを購入して運用した場合は5%程度の利回りになるケースもあります。

物件や購入場所、運用方法によって多少の違いは生じますが、それでも高い利回りを維持できるのが不動産投資の一番の魅力と言えるでしょう。

不動産投資における利回りとは

不動産投資では、利回りの高い物件を購入して運用するのが一般的です。利回りと言っても何を基準に算出した利回りなのかを確認しておかなければ、後で大きなトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。利回りは以下の3つに分けられます。

  • 想定利回り
  • 表面利回り
  • 実質利回り

それぞれの利回りについて詳しくご紹介します。

想定利回り

想定利回りとは、満室時の家賃収入を想定して求められた利回りのことです。想定利回りの計算式は以下の通りです。

想定利回り=満室時の家賃収入÷不動産の購入価格×100

例えば、1億円の物件があって満室時の家賃収入が1年あたり1,000万円だったとすると、1,000万円÷1億円×100=10となるため、この物件の想定利回りは10%ということになります。

不動産会社が提供している物件情報には、満室時を想定した表面利回りが記載されているのが一般的です。想定利回りを知ることによって、物件を購入した場合のおおよその収入が予想できるため、どの物件を選ぶのか、という最初の判断材料としてよく用いられています。

表面利回り

表面利回りとは、想定利回りのように満室時の家賃収入を想定しているのではなく、実際の家賃収入から求められた利回りのことです。表面利回りの計算式は以下の通りです。

表面利回り=実際の家賃収入÷不動産の購入価格×100

例えば先ほどと同条件の物件で、現在の家賃収入が1年あたり800万円だったとします。その場合、800万円÷1億円×100=8となるため、この物件の表面利回りは8%となります。

想定利回りが物件の絞り込みの基準とすることに対し、表面利回りは現況がどのような状態かを探っていくために算出します。

実質利回り

実質利回りとは、実際の家賃収入から必要な経費を差し引いて求められた不動産収入の利回りのことです。実質利回りの計算式は以下の通りです。

実質利回り=(実際の家賃収入-経費)÷不動産の購入価格×100

例えば上記と同条件の物件で、1年あたりの管理費や固定資産税、水道光熱費といった経費が200万円だったとすると、(800万円-200万円)÷1億円×100=6となるため、物件の実質利回りは6%となります。

不動産投資は融資を受けて行うのが一般的なので、家賃収入の一部を返済に回せるよう無理のない返済計画を立てることが重要です。それらを判断するために、家賃収入のみを基準にしている表面利回りではなく、経費を差し引いた実際の利益を基準した実質利回りがよく用いられています。

実質利回り

利回りを確認する際の注意点

何を基準に算出している利回りなのかを理解していないと、「高い利回りだと思って購入したのに空室だらけだった」などのように、大きなトラブルに発展する可能性があります。こうしたトラブルを防ぐためにも、以下の注意点を確認しましょう。

実質利回りを確認する

実質利回りを確認するためには、経費がどれほどかかるのかを把握する必要があります。実質利回りを求める際に必要となる経費には、以下のような項目があります。

  • 固定資産税
  • 修繕費
  • 水道光熱費
  • 管理手数料

固定資産税は、固定資産税評価額に標準税率の1.4%を掛けることによって求めるほか、管理手数料は全体の家賃収入の5%といったように定率であるため、物件ごとに大きな差は生じません。しかし修繕費は築年数ごとに大きく変動します。水道光熱費についても、例えば蛍光灯なのかLEDなのかなど使用している備品によって変わるため物件ごとに大きな差が生じます。

さらに水道光熱費込みや家具付き、インターネット接続無料といった物件も増えており、これらの負担はオーナー側が請け負うため、場合によっては思った以上に経費がかかることもあります。

返済計画に大きな支障が生じて結果的に物件を手放さなくてはならない場合もあるので、実質利回りをしっかりチェックしましょう。

利回りを下げる要因が潜んでいないか確認する

購入した時点では利回りが高くても、空室の有無に関わらず運用していると利回りは徐々に下がります。

例えば、築年数がある程度経過している物件は家賃を下げないと需要が見込めないため、家賃収入が減る分利回りが低くなります。また築年数に問題はなくても、購入した物件の家賃設定が周辺相場よりも高ければ、今は需要があってもいずれ相場に合わせなければ需要は低下します。結果、家賃収入が減ってしまうため、この場合も利回りが低くなると言えるでしょう。

このような事態を避けるには、物件の家賃相場が見合っているかどうか最初にしっかりと確認しておくことが重要です。また、リフォーム済の物件を購入する、または支出を伴うもののリフォームを行ったり外壁の塗装をきれいしたりすることで、築年数が経過していても需要が期待できるため、現状利回りを維持しやすいと言えるでしょう。

利回りが高すぎる物件には注意

不動産投資では融資の返済を速やかに行えるほか、より効率の良い資産運用が行えるなどの理由から利回りの高い物件を選ぶのが一般的です。しかし、利回りが周辺の相場よりも高い場合には注意が必要です。

例えば、利回りが高い物件は掘り出し物である可能性がある一方で、何かしらの難があって条件を良く見せている可能性があります。以下、特に不動産購入時に懸念すべき2つの注意点を確認しましょう。

立地条件などが悪い

利回りが高いということは、家賃収入に対する物件の売却価格が安すぎることを意味しています。

条件が整っている物件の場合、売却価格を高く設定するのが一般的です。しかし、それでも価格を下げているということは売却価格を下げてまで売りたい理由がある、逆に売らなければならない理由がある物件と言えます。

その理由を探しながら物件を見てみると、答えがすぐに見つかることもあります。例えば、築年数が経過している、そろそろ大きな修繕工事が必要になる、駅からの距離が遠いため需要が低下しているなどが挙げられます。

これらの理由が潜んでいると、いくら利回りの高い物件と言っても徐々に利回りが低下してしまいます。それでも購入する場合には、それらを踏まえた上で運用しましょう。

条件付き物件の可能性がある

上記のようなチェックを行ったにも関わらず、特に悪い点が見つからない場合には、条件が付いている物件かどうかをチェックすることが重要です

条件が付いている場合、不動産会社が提供する物件の資料には具体的な内容が記載されます。しかし専門的なこともあり、文面だけを見ても初心者には理解しにくい内容も含まれます。

例えば、再建築不可という条件の付いた物件は建物が劣化したからといって建て直すことはできません。地震や火災などで建物を失っても、その土地に建物を建てることができないため、ただの空き地として所有することになります。

さらに条件付きの物件は需要が低く、売却したい際に売れない可能性が高くなります。価格をかなり下げないと売れないなど、リスクも高くなるので注意しましょう。
条件付き物件の可能性がある

まとめ

不動産投資で利益を出すためには、利回りの高い物件を運用することが重要です。しかし利回りと言っても何を基準にして算出しているか異なるため、違いを理解しておくことが重要です。

利回りが高い物件が必ずしもいい物件とは限りません。見かけの利回りにとらわれず、なぜ利回りが高いのかという理由をしっかり確認してから物件を購入しましょう。

 
~プロフィール~
矢野翔一
関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。

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