10年単位の計画でコツコツ資産形成をしたい方には、積み立て投資がおすすめです。少額から始められるリスクの少ない運用方法で、初心者でも挑戦しやすいといえます。今回は、積み立て投資のメリット・デメリット、始める前に押さえておきたい3つのコツ、そして併せて運用するのに適した2つの投資について説明します。

安定した投資ができる積み立て投資

積み立て投資とは、一定金額または一定数の案件に決まったサイクルで投資する方法です。サイクルは月ごとの購入が一般的ですが、投資の種類や案件によっては日ごとや週ごと、隔月などで投資することもできます。

「積み立て」は投資以外でも広く使われる言葉ですが、投資においては投資信託で用いるケースがほとんどです。投資信託とは、複数の投資家から集めた資金をファンドという形式の案件にまとめ、運用する金融商品です。ファンドの資金は、ファンドマネージャーと呼ばれる投資の専門家が株式や債券などの商品に投資し、運用を行います。

積み立て投資5つのメリット

1.少額から始められる

積み立て投資は、価格が低いものであれば100円から始められます。数万円から数十万円単位のまとまった初期資金が必要な株式投資などと比べて負担が小さく、初心者でもお試しで始められます。

積み立て投資は、途中で購入金額を増減することも可能です。まず少額から始め、十分に利益が得られそうなら増額し、それほどの利益が見込めないと感じた場合はファンドを選び直しましょう。

2.リスクを分散しやすい

投資には、激しい値動きによる投資先の倒産などのリスクがあります。これらのリスクに備える方法として、投資先を複数に分散させる「分散投資」が有効です。もしも1つのファンドで損失を出してしまっても、他のファンドから得た利益で補えるため、被害を抑えることができます。投資信託はさまざまな金融商品を組み合わせているファンドが多く、リスクを分散させやすいといえます。

さらにリスクを分散する方法として、毎月一定数を購入するのではなく一定金額で購入する「ドル・コスト平均法」があります。値下がり時に多く購入し、値上がり時に少なく購入することで購入価格を平準化し、多大な損失を防げます。

3.自動的に継続できる

積み立て投資で決めなければならないのは、最初のファンド選びと購入金額です。一度決定すれば、変更や解約を申し込まない限り、決まった日付になるたびに口座から購入資金が引き落とされます。引き落とされた資金は自動的に投資されるため、自分で新たに商品を選んだり、手続きをしたりする手間がかかりません。また、「いつどのタイミングで購入するか」、「いくら資金を投入するか」などと悩む必要がなく、着実に元本を積み立てられることもメリットです。

4.複利効果が期待できる

投資資金の運用方法には、単利運用と複利運用の2種類があります。
単利運用は、投資する元本の金額を固定して、得られた利息は投資に使わない運用方法です。例えば元本100万円・年利5%で2年運用した場合、1年目が100万×0.05=5万円、2年目が100万×0.05=5万円で合計10万円の利益があります。

対して複利運用は、元本と得られた利息の両方を投資する運用方法です。上記と同条件だと1年目が100万×0.05=5万円なのは同様ですが、2年目は1年目の利息分も運用するため105万円×0.05=5万2,500円となり、合計10万2,500円の利益が得られます。
積み立て投資は期間が長いため、複利運用を選ぶことでより高い利益が期待できます。

5.プロに任せられる

投資のプロが投資先を選んでくれることも、積み立て投資のメリットの1つです。株式や債券、FXなど他の投資を自分で行う場合、時間や手間がかかります。市場の動向や銘柄の特徴などについて詳しく勉強しなければならないことに加え、株式やFXなど値動きが激しい市場では、購入・売却のタイミングの分析も必要です。しかし、積み立て投資なら投資のプロが運用するため、本業が忙しくて投資に時間をかけられない方や初心者でも安心して資産運用ができます。

積み立て投資3つのデメリット

1.元本割れのリスクがある

積み立て投資に限らず投資のデメリットとして、投資額を下回る「元本割れ」が発生する可能性があるなどのリスクが挙げられます。しかし、市場価格が下がりきった時期に解約すれば確実に損をしてしまうため、値下がりが起きても中途半端なタイミングで解約することは避け、しばらく様子をみるのがおすすめです。ただし、大きな損失を生む結果とならないよう、あらかじめ引き際を決めておくことも大切です。

市場価格は日々上下するため、一時的に下落したとしても上昇傾向に転じる可能性があります。購入し続けているとそれだけ多くの資産を確保でき、値上がりのタイミングで手放せば多くの利益が得られます。

2.大きな値上がりは期待しづらい

積み立て投資は少しずつ投資する方法であり、長期間の資産形成に向いています。しかし、短期間に大きなリターンを出すことは難しい方法です。

短期間で大きなリターンを得たい場合は、一度に資金をまとめて投入する「一括投資」が適切です。値下がりが起きた場合のリスクが高いというデメリットがありますが、価格が右肩上がりの場合は、安価で大量に購入できるため大きなリターンが期待できます。投資はリスクとリターンのバランスを考慮して、自分の目標に合った方法を選ぶことが大切です。

3.手数料がかかる

投資信託には販売手数料や運用手数料、解約手数料などの手数料がかかります。

販売手数料は、投資信託を購入するたびに販売先の証券会社などに支払う手数料です。運用手数料は投資を行う運用会社や販売会社、資金を預かる信託銀行に分配される手数料です。信託報酬とも呼ばれており、運用資金から差し引かれます。解約手数料は、決められた期間に満たないうちに投資信託を解約するときに支払う手数料で、信託財産留保額とも呼ばれます。

投資する期間が長くなる、また投資額が大きくなるほど、かかる手数料も増えます。運用会社によって必要な手数料の種類や金額も異なるため、どの程度の手数料がかかるのかを事前に確認しておきましょう。

手数料がかかる

積み立て投資3つのコツ

積み立て投資を効果的に運用するために、3つのコツを押さえましょう。

1.余裕資金を投資にあてる

投資は損をする可能性があるため、生活に必要な資金は必ず手元に残しておきましょう。数年以内に使う予定がある資金や病気などに備えた貯蓄は、引き出しやすい普通預金や定期預金に預けることが無難です。積み立て投資には老後資金など、実際に使うまでに資金を増やせる可能性がある余裕資金を投入しましょう。

2.目標を立てて運用する

投資は、どれだけの利益をいつまでに得たいのかなどの目標を立てて運用することが大切です。特に長期的な積み立て投資では、ライフステージに合わせて計画を立てます。

例えば、「子供の進学資金として10年後までに800万円用意したい」、「老後の生活資金として定年までに年金の他に2,000万円の資産を確保しておきたい」といった具体的な目的と目標金額を立てましょう。

3.ファンドや事業者を分散する

リスクを最小限に抑えるためには、ファンドや事業者を分散させることが大切です。日経平均などの指標に合わせて運用するインデックスファンドを複数選び、分散投資することをおすすめします。

あらかじめ複数のインデックスファンドが組み合わされているバランスファンドもおすすめですが、インデックスファンド単体に比べて手数料が高いため、複数運用するのには向いていません。バランスファンドに投資する場合は1つだけにしぼり、他のインデックスファンドを併用して買い付けましょう。

ファンドや事業者を分散する

積み立て投資と併用したい投資方法

リスクを低減させ安定した利益を得るためには、分散投資が重要です。積み立て投資と併用して運用しやすい投資方法をご紹介します。

利益が分かりやすいソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングも積み立て投資と同じように、ファンド型の運用が中心です。ただし、投資家から集めた資金を金融商品に投資するのではなく企業に融資し、それが返済される際の金利で利益を得ます。

ソーシャルレンディングの特徴として、投資信託と比べて必要な手数料が少ないことが挙げられます。ファンドを運用・管理する手数料を、投資家ではなく融資先の企業から金利として徴収するため、投資家が直接支払うのは入金・出金手数料だけである場合がほとんどです。

運用期間は数ヶ月から長くても数年以内と短期型の投資ですが、手元に戻った元本と利息を投資する複利運用を行えば長期投資にもなります。融資と返済という性質上、金利があらかじめ決まっているため、投資対象の価格が日々変動することがありません。あらかじめ得られる利益が分かりやすいため、計画的な投資運用がしやすいという魅力があります。

長期投資におすすめのiDeCo

iDeCoは愛称で、正式名称は「個人型確定拠出年金」です。自分で積み立てる年金制度であり、定期預金、保険、投資信託などの金融商品から選んで運用します。積み立てできる金額は月額5,000円が下限で、1,000円単位で上乗せできますが職業ごとに上限が定められています。積み立てた資金は所得控除の対象になるため節税にもなり、得られる利息も非課税です。

税制面で大きなメリットがあるiDeCoですが、途中で解約ができないため、年金支給年齢の60歳になるまで資金を引き出すことができません。iDeCoは老後の生活資金用と考え、その他のライフステージに必要な資金は積み立て投資やソーシャルレンディングなどの投資でまかないましょう。

安定投資で将来に備えましょう

積み立て投資は長期的な資産形成がしやすく、かかる手間も少ないため、初心者でも始めやすい投資です。しかし、短期的な投資には向かないのに加え、投資であるため損をする可能性もゼロではありません。より安定して利益を出すために、1つの投資先にしぼるのではなく、他の投資方法も組み合わせながら将来を見据えた資産運用を心がけましょう。

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