ソーシャルレンディングと投資信託は、どちらもミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれていますが、利回りやリスク、コスト、運用のしやすさなどが異なります。そこで今回は、ソーシャルレンディングと投資信託の仕組みや利回り、手数料や税金などのコスト、運用のしやすさなどについてご紹介します。

ソーシャルレンディングと投資信託の仕組み

まずは、ソーシャルレンディングと投資信託の仕組みをご紹介します。

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレディングは、投資家と融資を受けたい企業をマッチングするサービスです。「ソーシャルレンディング事業者(以下、事業者)」がインターネットを使ってWeb上で投資家から資金を募り、投資金として企業へと融資します。また事業者は返済金から手数料を差し引き、残りの返済金から投資家に元本と金利を支払います。
案件にもよりますが、ソーシャルレンディングの最少投資額は1万円です。個人で行う不動産投資とは異なり、大金がなくても始められるため、誰でも気軽に資産運用を行えます。

なお、個人から資金を集める性質上、クラウドファンディングのひとつとして数えられています。

投資信託の仕組み

投資信託は、「投資信託運用会社(以下、運用会社)」が扱う金融商品です。郵便局や証券会社、銀行といった「販売会社」を通じて販売しています。投資信託を通して不特定多数の投資家から集まった資金は、資産管理を行う「信託銀行」に保管されます。

投資信託では運用会社が集めた資金の投資方法を考え、どの金融商品を購入するかを信託銀行に指示します(運用指図)。実際に投資の運用を行うのは信託銀行であり、株や債券を売買して得た資金を、投資額に応じて投資家へと分配するのです。

利回りの高さと安定性

比較1.利回りの高さと安定性

「利回り」とは、投資額に対する一年間の収益率を平均値で表したもの。簡単にいうと、「金融商品にいくら投資をして、一年間でどれほど儲かったのか」ということです。

以下にて、ソーシャルレンディングと投資信託の利回りの違いを2つの観点からご紹介します。

平均利回り

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングの利回りは高く、平均5~8%の水準を保っています。また案件によっては利回りが10%を超えるものもあり、他の投資よりも高水準をキープしているのです。
ソーシャルレンディングの利回りは年間利益として記載していることが多く、例えば100万円の投資額に対して年間収益が10万円だったなら、その案件の利回りは10%となります。一方、1年未満の案件は実際の運用期間に応じて収益が支払われます。

なお、ソーシャルレンディングの案件に記載している利回りは、投資をして手元に資金が戻るまでの「投資家利回り」ではなく、事業者が融資をしてから返済されるまでの「運用利回り」であることが多いため、利回りを確認する際は注意しましょう。

投資信託

投資信託では、購入時の価格から一年間でどれだけ価格が上昇したかによって利回りが算出されます。例えば、1万円で購入した投資信託が1年後に11,000円になれば、利回りは10%ということです。

加えて、投資信託の平均利回りは種類によって異なります。例えば、投資信託の種類は大きく分けて「株式」と「債券」の2つで、これをさらに国内か海外かで分類するのが基本です。4つのカテゴリーごとに平均利回りが変わっており、国内株式は57%、海外株式は68%、国内債権は13%、海外債権は24%となっています。

利回りの安定性

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは、為替取引のように価格が変動することがありません。価格変動の波が少ない分、利回りの計算がしやすく、経済状況に左右されることなく安定した分配金が得られるため、投資初心者でも比較的始めやすい投資です。

投資信託

投資信託は、案件や銘柄に関係なく価格変動の影響を受けます。長期的な運用であれば、経済状況によっては価格が上昇する可能性もありますが、短期的な運用ではマイナスになることもあります。

比較2.元本割れのリスクと対策

投資を行う際は、リスクについても把握しておくことが大切です。とくに投資金が全額戻らない「元本割れ」のリスクは、投資家にとって避けたいもののはず。そこで以下では、ソーシャルレンディングと投資信託で元本割れが起きる可能性と、適切な対策方法をご紹介します。

元本割れの可能性はゼロではない

ソーシャルレンディングでは融資先の倒産による貸し倒れによって、投資信託では経済状況や物価、為替、金融政策などによる価格変動の影響を受けることで、元本割れが起きる可能性があります。

ソーシャルレンディングも投資信託も、元本保証が設けられていないケースが多いため、もしも元本割れが起きると資金が戻らず、大きな損失を受けてしまいます。ソーシャルレンディングを始める際は、実績のある事業者を選び、案件情報や担保の有無などを確認しましょう。また、投資信託においても運用会社選びを慎重に行い、経済状況や情勢などを常にチェックしておくことが大切です。

元本割れを想定した対策方法

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを行う際は、複数の企業または案件に投資をするのがおすすめです。投資金を分散することで、仮に一社の企業が倒産して返済ができなくなってもトータルの損失額を抑えられます。加えて、案件を選ぶ際は不動産や債権などの担保が設定されたものを選びましょう。企業が倒産した際、担保の売却によって損失の補填が期待できるため、利回りが高いからと安易に投資せずに案件について調べることが大切です。

投資信託

投資信託における元本割れのリスクを軽減できるのが、「元本確保型投資信託」です。元本確保型信託は資金を安定運用と積極運用の2つに分けて投資を行う手法で、安定運用の資金で元本の確保を目指し、積極運用の資金で投資の収益を目指すという仕組みです。安定運用では、収益は低いがリスクも低い金融商品に投資して元本の確保を行います。もしも積極運用のほうで損をしたとしても、安定運用で稼いだ収益を元本保証にあてられる可能性が高いため、資金を失うリスクを軽減できるのです。

出資・運用に必要な諸コスト

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比較3.投資に必要なコスト

ソーシャルレンディングと投資信託には、手数料や税金がかかります。以下にて、詳細をご紹介します。

手数料

ソーシャルレンディング

事業者によって異なりますが、ソーシャルレンディングでは入出金手数料が発生します。差し引かれる金額は少額ですが、少額投資を行う場合は手数料の負担が大きくなることがあるため注意が必要です。事業者によっては入出金手数料を無料にしているところもあるため、事業者選びの際にはWebサイトなどで調べてみましょう。

この他、手数料には管理手数料や委託手数料があります。管理手数料は事業者が案件ごとに定めている手数料で、企業が支払う返済金の一部を手数料として事業者が受け取っているため投資家が直接支払うことはありません。一方委託手数料は、企業に融資した資金の回収を第三者機関に委託するための費用です。こちらも投資家が負担する必要はなく、企業からの返済金と延滞利息から支払われます。

投資信託

投資信託の手数料は、「販売手数料」、「信託報酬(運用経費)」、「信託財産留保額」の3つに分けられます。
販売手数料は、投資信託を購入する際に販売会社へ支払う手数料です。基本的に購入金額の13%(+消費税)ほどかかりますが、販売会社によって金額が異なるため、販売手数料の安い販売会社を探しましょう。

信託報酬は、運用する上での経費や運営会社への報酬などです。年間何%と決められており、日割り計算で少しずつ差し引かれます。投資信託の種類によって差があるため、同じ運用成果を出す投資信託で迷っているなら信託報酬の低いものを選ぶことをおすすめします。
信託財産留保額は、投資信託を途中解約したり、売却したりする際にかかる手数料です。信託財産留保額がかからない投資信託も多く、保有期間によっては金額が異なる場合もあります。

税金

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングの課税対象は分配金であり、雑所得にあたるため総合課税で計算されます。事業者が所得税を前払いしているため、あらかじめ税金を引いた金額が入金されます。源泉徴収される税率は「所得税20%+復興特別所得税0.42%」ですが、仮に所得税額よりも源泉徴収額が多い場合は、申告することで還付されます。
ソーシャルレンディングの総所得が20万円以下の場合は確定申告が不要ですが、ソーシャルレンディングおよび他投資の総所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。確定申告が必要かどうかの条件は細かく設定されているため、事前に確認しておきましょう。

投資信託

投資信託では、分配金を受け取るときと解約するときに税金が発生します。受け取る際は分配金の全額、解約するときは解約金のうち運用によって増額した金額が課税対象です。投資信託の税率はすべて20.315%であり、所得税、住民税、復興特別所得税が含まれています。口座を選べば自動で証券会社が源泉徴収を行うため、基本的に確定申告は不要です。

比較4.運用のしやすさ

投資を行う際は、運用がしやすいかを見極めることが大切です。以下にて、ソーシャルレンディングと投資信託の運用期間や換金のしやすさをご紹介します。

運用期間

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングの運用期間は案件によって異なります、短期間だと1ヶ月~1年ほど、長期間だと23年間です。一度投資を行うと、満期まで資金を引き出すことはできません。企業の都合で運用期間が伸びることもあるため、投資の資金と生活資金は分けて管理することが大切です。

投資信託

投資信託の運用期間は短期間だと35年、長期間だと10年以上あり、運用中は自由に株式や債券の売買ができるという特徴があります。運用中に投資の資金が少なくなり、運用が困難になった場合は、繰り上げ償還となります。この処置に陥ると資産運用の見直しを行ったり、運用益に対する税金の支払いが発生したりするため、投資信託を行う際は資金設定などを慎重に行いましょう。

換金のしやすさ

ソーシャルレンディングは途中解約ができないため、期間が満了するまで資金を引き出せません。もちろん、企業の都合によって運用期間や返済期限が前後することはありますが、案件に記載された運用期間をもとに投資をする資金の設定を行うことが重要です。

一方投資信託は、一定期間解約処置ができない「クローズド期間」が過ぎるなど、一定の条件をクリアすれば運用の途中で解約処置ができます。ただし、商品の中には解約できないものもある他、解約時に手数料などがかかる場合もあるため注意が必要です。

投資は選び分けが大切

上記でご紹介したように、ソーシャルレンディングは高く安定した利回りが得られ、投資信託は長期的に安定した利益が得られるなど、それぞれに長所と短所があります。ソーシャルレンディングと投資信託は、これから投資を始める方にもぴったりの投資です。それぞれの特徴を把握した上で、自身に適した投資を選んでみてください。

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