徐々に知名度と市場を拡大しつつあるソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)ですが、成長する実績の一方で相次ぐ行政処分やファンド延滞、また貸倒れなどネガティブなニュースを耳にすることが多いのも事実です。

 

 

 「投資商品なのでリスクが伴うことは分かってはいるけれど、可能な限りリスクが少ない商品に投資したい」

 「リスクの内容をしっかりと理解したうえで投資したい」

 「実際に延滞などにあってしまったが何か可能な対応はあるのか」

 

 など、投資をするにあたり不安はつきものです。

 以下ではソーシャルレンディングでの損失の要因と、その時の対応についてみていきます。

ソーシャルレンディングで損失が出る場合

 まず一言でソーシャルレンディングの「損失」と言っても、その要因は大きく二つに分かれます。一つはソーシャルレンディング事業者に由来するもの、もう一つはソーシャルレンディングの借手に由来するものです。

 借手の返済遅延や返済不能などは基本的に後者の借手・ファンドが要因の損失に該当します。

 一方でファンド営業者の破綻などは、前者のソーシャルレンディング事業者が要因の損失です。また、ラッキーバンク・インベストメント株式会社の行政処分や、マネオマーケット株式会社の集団訴訟問題など、ファンド営業者の管理態勢などが適切でなかったために発生した損失についてもソーシャルレンディング事業者が要因の損失です。

 (この区別はかなり大まかに分類しており、一概にどちらとも分けられない場合がありますが、事業者に一定の不正が疑われる場合の延滞や貸倒れは後者に分類しています。)

 

 

借手に由来する損失

 

 借手に対するリスクについては、20193月に金融庁より匿名化の解除へ向けた見解の発表が行われ、少しずつ借手の情報が投資家サイドにも公表されるようになりました。

 

 ただしその借手がSPC(特別目的会社)などで、実際の借手が不透明な場合もあります。しかし借手の会社概要や財務状況、プロジェクトのリスクなどが公開されている現在は、以前に比べ投資判断がしやすくなったといえるでしょう。

 (SPC(特別目的会社)であることは、ソーシャルレンディングによる資金調達が企業規模ではなく、事業規模で行われていることが多いことなどに関連している場合が多いです。)

 

 その上で、公開されている情報からその借手が企業として健全と言えるか、また対象事業の内容と期間、また担保物件の内容などを総合的に判断し、許容できるリスクの範囲で投資をすることが大切です。

 

 例えば、太陽光発電事業ならば、発電された電力の買い手や、発電所の立地の日照時間、また借手が行うその他の事業の運営状況などから、対象事業のリスクを考えることが可能です。また同一の借手が行った過去のファンドなどについて、その運営状況を比較することで、その借手の安全性や、早期償還の可能性なども推測することが可能です。

 

ソーシャルレンディング事業者に由来する損失

 

 一方で事業者に対するリスクの最たるものは、ソーシャルレンディング事業者の破綻です。ソーシャルレンディング市場はまだまだ未熟な市場であり、各ソーシャルレンディング事業者は市場開拓や知名度の向上など、課題は山積しています。

 

 そのような状況で、未だに赤字経営を行っている企業が多々あります。ソーシャルレンディングは金融業ですから、事業者自身が盤石な基盤を持っていることが重要でしょう。黒字経営かどうか、累積赤字があるかどうか、また資本が上場企業かどうかなどを確認し、事業者の選定をする必要があります。

 

損失は回避できない

 ここまで見てくると、主要なソーシャルレンディング事業者のほとんどが延滞を経験していることがわかります。ソーシャルレンディングはどのような事業者であれ、少なからず延滞を生じる可能性を持っていることをまず認識する必要があるでしょう。

 

 

SBIソーシャルレンディング

 

 各事業者の延滞状況を見ていくと、例えばSBIソーシャルレンディングでは、カンボジア技能実習生に関するファンドは、借手の延滞などのリスクが高いファンドであり、利回りも高めであることが分かります。また、不動産に関するファンドで貸倒れが発生していますが、延滞が生じた際の資金回収力は一定の評価を得ており、リスクや損失を考え分散投資をする際の判断材料として有用です。

 

クラウドクレジット

 

 またクラウドクレジットでは、ファンドが常に複数あり、また累計の本数が多く過去のファンドを元にして出資の判断をするのに役立ちます。過去の運用状況などもレポートで確認ができるので、事業者の対応や実力を見る際にはチェックが必要です。一方で一概に利回りが高いファンドや、信用性が低いと事業者が判断したファンドのみが延滞しているとは限らず、事業者によるレポートだけで判断するのもまたリスクを伴うでしょう。

 

クラウドバンクとオーナーズブック

 

 クラウドバンクやオーナーズブックなども現状で延滞件数が無いとはいえ、いつまた延滞するファンドが発生するかわかりません。逆に発生したときのことを考えて投資判断をする必要があるでしょう。

 

分散投資=複数のファンド+複数の事業者

 ソーシャルレンディングにおいて注意すべきリスク、つまり避けることのできないリスクは、途中で売ることできない流動性の低さと、借手の審査内容が投資家には未だ見えづらいという点です。

 

 現状の各社のサービス状況ではすべてのリスク・損失を回避することは難しいでしょうし、複数の事業者で、複数の案件に分散することが重要だと考えられます。

 

流動性は低くても、全体を見ると…

 ソーシャルレンディングは株式やFXなどに比べて流動性は低く出資先も明確ではありません。一方で価格が常に変動する株式やFXなどは将来予測が難しいのもまた事実です。投資信託でさえ、バリエーションが豊富な反面、中身がわかりづらいものも多く、今後の株式市場等の影響を大きく受ける可能性があります。

 また、投資信託などの中身を運用実績や目論見書などから分析することの労力や、企業の決算報告などでも各企業のすべての情報が得られないことなども考慮する必要がありそうです。

 

税金について

 

 最後に、税金のお話です。

 ソーシャルレンディングのファンドで分配された利益は雑所得となります。ソーシャルレンディングでの複数ファンドの利益・損失は確定申告の際に損益通算することが可能です。

 

 また、ソーシャルレンディングの利益・損失をその他の金融商品と組み合わせて、損益通算することが可能かは、その金融商品の種類などによって異なります。

 

 確定申告については、国税庁又は所轄の税務署等へ確認すると良いでしょう。

 

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