ソーシャルレンディングを始めるのなら、利回りや投資のコツを調べるだけでなく、事業者のサービスについても調べましょう。ソーシャルレンディングは投資手法としては比較的新しく、サービスとしてしっかりと体制が整っていない事業者もあります。

それぞれ条件も投資先も違う中から、リスクをできるだけ避けて資金運用をしたいと考えているかたもいるのではないでしょうか。ここでは、ソーシャルレンディングの第一歩となる事業者選びとファンド選びのポイントを、過去のトラブルも交えてご紹介していきます。

ソーシャルレンディング事業者選びのポイント

ソーシャルレンディングを始めるには、口座を開設する事業者選びを慎重に行うことが重要です。事業者の運営体型、親会社の信用力といった確認するポイントをご紹介します。

実績・運営状況を確認

まずは、過去の取引実績と運営体制がしっかりしているかを確認してみましょう。各事業者のホームページには、ファンド運用や償還の実績を提示しているページが用意されています。事業者のサービス開始から1年以上経過しており、実績もある程度あれば信頼できる企業といってもいいでしょう。

ただし、実際に試してみないとわからないこともあります。問い合わせがしっかりと帰ってくるか、入出金がすぐに反映されるかといった運営面は実際に投資したほうがよくわかります。まずは口座を解説して様子を見る、1万円程度の少額だけ投資して分配が想定通り行われるか確認してみるのもいいでしょう。

株主を確認

ソーシャルレンディング事業者の中には、大手企業を株主に持つ会社があります。東証1部上場の企業とグループ会社となっている事業者は、業界においても安定感があると言えるでしょう。もちろん、大企業と関係がある=安全と判断できるわけではありません。ですが、運営体制やコンプライアンスなどが親となる大企業のように高い水準が求められることも多いため、信頼性が担保されていると考えられます。事業者選びのひとつの要因として考え、ほかの面と合わせて情報を集めて判断しましょう。

大手事業者と新興事業者

まだ市場規模が拡大途中の業界ですが、比較的老舗と呼ばれる大手と、それ以外の新興系の2つに分類されます。有名な大手は2社。

ネット証券大手のSBI証券のグループ会社である「SBIソーシャルレンディング」と業界の先駆けとしてサービス提供を始めた「maneo」です。大手の特徴はソーシャルレンディング事業者としての安定感が高いことです。ほかの事業者よりも長く運営している分、ノウハウと実績を持っています。

一方で新興系の特徴は、大手よりも利回りの高いファンドが多く見られるようです。利回りと安定のどちらを重視するかで、事業者を選んでみても良いかもしれません。

利回りを確認

利回りは、事業者よりもファンド選びで重視される傾向があります。ですが利回りが投資したい水準に届いていないと収益性が悪くなり、逆に高すぎると貸倒れのリスクも高くなります。そこで大切なのはファンドごとの利回りの平均を知ることです。

投資家への分配金は、借手となる企業の返済額から手数料を引いた金額です。投資家に提示される年間利回りが10%、手数料が5%だった場合、借手企業には15%となるイメージです。つまり、年間利回りが良いと企業への負担が大きい可能性があり、貸倒れのリスクが発生します。ファンドはもちろん、事業者ごとに年間利回りはことなるため複数の事業者を見て、業界全体の平均額を把握しておきましょう。

資料とペン

ファンド選びのポイント

事業者と同じく、ファンド選びもソーシャルレンディングでは重要です。これから投資を始める方のために、ファンドとは何か、選ぶときのポイントはどこかをご紹介します。

ファンドとは

ファンドはもともと「基金を集める」といった意味を持つ言葉です。現在では、資金運用会社や金融商品を指し示す言葉として使われています。ソーシャルレンディングにおけるファンドは、不動産ローンファンドや再生エネルギーファンドなどの金融商品、投資先のビジネスモデルが該当します。

ファンド選びのポイント

ビジネスモデル

ソーシャルレンディングの投資先のビジネスモデルには次のようなものがあります。

  • 不動産系
  • 事業性資金
  • 海外ローン
  • エネルギー

不動産では投資先が国内向け、海外向けで分かれていたり、エネルギーもメガソーラーやバイオマスと種類が分かれていたりします。ビジネスモデル選びは、そのビジネスの将来性や業界の安定性で考えましょう。どういったビジネスで、どのように資金が使われているのかがわかるとリスク回避にも役立ちます

例えば、同じビジネスモデルに集中して投資していると、その業界が不況に陥ったときに貸倒れ被害が大きくなります。逆に将来性があり、安定性が見込めるファンドなら、比較的安心して資金運用ができるかもしれません。

運用期間

ソーシャルレンディングでは月々の返済金の分配と、元本償還が利益となります。運用期間が2年だった場合、長期的に返済金の分配が期待できますが、それは貸倒れがおきないことを前提とした考えです。
貸倒れ(デフォルト)が発生するとそこで資金の回収はストップします。業界全体では2015年~2017年の貸倒れ率は1.47%と高くはありませんが、可能性がないわけではありません。貸倒れのリスクは常にあるものだと理解しておきましょう。

また、ソーシャルレンディングでは投資した資金は、運用期間が終わるまで動かすことができません。急に資金が必要になった場合も引き出せないので注意してください。
一方で、1ヶ月程度の短期間のソーシャルレンディングも存在します。そちらは期間が短い分、途中で貸倒れとなるリスクは低いですが、再投資の手間がかかるデメリットを持ち合わせます。そのため、傾向としては1年程度のファンドが人気となっているようです。

担保

投資にはリスクがつきものです。そのリスクを少しでも軽減しようと考えられたのが、担保が保証されたファンドです。借手に資金を融資する際に、不動産などを担保とします。万が一、貸倒れが発生した場合は、担保を売却することで資金の回収をはかる形です。ソーシャルレンディングの流れを低リスクで確認したいのなら、こうした担保つきのファンドに少額から投資してみると良いかもしれません。

オフィス街とコイン

過去のトラブルで体制の変わったソーシャルレンディング

日本では2016年頃から急成長しているソーシャルレンディングですが、アメリカや中国などではそれより早くに市場規模が拡大しています。アメリカではP2Pレンディングにより、市場は成長しました。これは個人と企業だけでなく、個人と個人も結びつけるビジネスモデルです。

以前は日本でも個人向けのP2Pレンディング事業が行われていました。ですが、個人向けのレンディング事業で貸倒れが多く発生し、ある事業者が行政処分を受けるほどのトラブルになります。行政処分を受けた事業者は、個人向けの貸付から撤退して企業のみをターゲットにしたビジネスモデルに変更しました。その結果、貸倒れは減少して現在の安定した運営ができるようになっています。こうした過去の事例を把握することで、リスク回避に繋がるかもしれません。

行政処分を受けた事業者の特徴

2018年までに、いくつかのソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けています。それぞれの事業者の特徴を確認してみると、似通った部分が見つかりました。事業者を選ぶ時にリスクを避けるためにもそれぞれの特徴を確認しておきましょう。

利回りが業界水準を上回り非常に高かった

以前は、不動産担保ありの平均利回りは5~7%程度でした。ですが行政処分を受けた事業者では、9%や10%と業界水準を上回る利回りを設定していました。利回りの高さはそのまま利益にも繋がるので、魅力的ではあります。ですが、利回りの高さは融資を受ける企業にとっては負担です。過去の実績で貸倒れが起こっていなかったとしても、金利が高いと低金利のファンドに比べ貸倒れが起こるリスクは高いと想定しておいてもください。

特に、マイナス金利の影響で業界全体の金利水準は当時より低下傾向にあります。1つの事業者を確認するのではなく、必ず複数の事業者を確認して利回りの平均がどれくらいなのかを把握しておきましょう。

自社の関連企業に融資しているケースが多かった

行政処分を受けた事業者の中には、親族が経営する企業への融資、グループ企業への融資が大半を占める資金運用が行われてたケースがあり、ソーシャルレンディング事業者の親会社が投資家から資金を調達していた形になっていました。ソーシャルレンディングでは、投資先の企業がわからない匿名組合契約を結ぶことになります。そして融資先情報の開示については事業者に委ねられているため、先ほど紹介したように親企業の資金調達に利用されていました。もしも、親企業が経営の安定している大企業であったのならコンプライアンスや資金調達の流れが整っており、大きな被害にならなかったかもしれません。

また、融資先が限られている場合、融資先が倒産するとソーシャルレンディング事業者も影響を受けて連鎖倒産するリスクもあります。逆に複数の融資先があれば、1社が倒産しても、ほかのファンドからの返済で運営を続けることは可能です。ソーシャルレンディング事業者を選ぶときには、こうしたトラブルを思い出して、親企業の規模や融資先となるファンドが複数用意されているかも確認しておきましょう。

リスクが気になるなら口座開設だけで様子見もあり

国内のソーシャルレンディングでは、過去に個人向け融資の貸倒れトラブルが相次いでいました。その状況を改善するため、企業向けの融資のみにビジネスモデルも切り替えて安定した運営ができるようになったことで、新しい投資先として注目されています。まだまだ歴史の浅い投資手法のため、予想のしにくいリスクも見つかるかもしれません。

まずは、口座開設だけで様子を見たり少額投資で流れを確認したりするのもいいでしょう。今回紹介した事業者選びとファンド選びのポイントを参考に、無理のない資金運用をしてください。

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