ソーシャルレンディングで得た利益は自身の所得となるため、年間の利益に合わせて所得税を支払う義務があります。所得税はソーシャルレンディング事業者があらかじめ差し引いてくれるため、確定申告が不要なケースもあります。しかし、確定申告によって支払った一部の税金が戻ってくるケースもあるため、申告はしておくのがおすすめです。今回は、ソーシャルレンディングで支払った税金が確定申告で戻ってくる理由や確定申告の必要書類、手順についてご紹介します。

ソーシャルレンディングの所得税が確定申告で一部戻ってくる理由

ソーシャルレンディング事業者は投資家に分配金を支払う際、源泉徴収を行っています。源泉徴収とは、会社などが給与を支払う際にあらかじめ所得税を差し引き、代わりに納税することです。

ソーシャルレンディングの分配金に限らず、源泉徴収は所得税の仮払いであるため年末に調整を行う必要があります。会社から給与所得を得ている場合は会社が年末調整を行ってくれますが、ソーシャルレンディングで得た利益分を調整するには確定申告が必要です。

給与所得などと合算して正しい所得税額を出そう

所得税の仕組みを知ることで、自身が納めるべき所得税額を正しく計算できます。

所得税の課税方式には総合課税と分離課税の2種類があり、ソーシャルレンディングによる所得は総合課税方式で課税されます。総合課税とは、総合課税の対象となる給与所得や不動産所得などを合算し、その合計額から各種控除を差し引いた金額に課税するものです。

ソーシャルレンディング事業者が行う源泉徴収では、所得に対し一律20.42%(所得税20+復興特別所得税0.42%)が引かれます。しかし、本来は合算した所得に合わせて下表のように税率が決まるため、源泉徴収された所得税とは合わないことがあります。確定申告では、この差額を調整します。

下表は、2018年現在の所得税の税率です。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5

0

195万円を超え330万円以下

10

97,500

330万円を超え695万円以下

20

427,500

695万円を超え900万円以下

23

636,000

900万円を超え1,800万円以下

33

1,536,000

1,800万円を超え4,000万円以下

40

2,796,000

4,000万円超

45

4,796,000

引用:No.2260所得税の税率|所得税|国税庁

例えばソーシャルレンディングで10万円の利益があった場合は、ソーシャルレンディング事業者により20.42%が差し引かれています。ただし、給与所得や不動産所得などとソーシャルレンディングの10万円を合わせた金額が195万円以下だった場合、10万円に対しては5%(復興特別所得税を除く)の税率でよいため、約15%を余分に払っていることになります。この金額を確定申告することで取り戻せるのです。確定申告

節税につながる損益通算について

ソーシャルレンディングで損失が出た場合は、損益通算を行うことで所得税額を下げることが可能です。

損益通算とは

損益通算とは、一定期間内になんらかの損失があった場合、利益額から損失額を引いた差額を算出することです。通常は利益額から所得税を計算しますが、損益通算をした場合はその金額から所得税を計算できるため、節税になります。損益通算の対象となるのは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つです。損益通算は自身で行う必要があるため、確定申告が必須となります。 

ソーシャルレンディングでの損益通算

ソーシャルレンディングは雑所得として扱われるため、損益通算の対象となる4つの所得からは外れます。しかし、雑所得同士なら損益通算が可能です。

 例えばABという2つのファンドに出資しており、Aのファンドで利益が、Bのファンドで損失が出たとします。この場合、Aのファンドで発生した利益からBのファンドで出た損失を引き、差額を最終的な利益とすることができます。ソーシャルレンディング事業者はAのファンドの利益から計算して源泉徴収を行っているため、確定申告を行うことで支払った所得税の一部を取り戻せます。ただし、返済遅延などで損失額が確定していない場合は損益通算できません。 

確定申告が必要なケース、不要なケース

ほとんどの給与所得者には確定申告の義務はありませんが、ソーシャルレンディングで利益を得た場合、確定申告が必要になるケースがあります。給与所得者でも確定申告の義務が発生するケースは、国税庁のWebサイトで確認できます。以下、その一部を引用します。

 

1.給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2.1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

3.2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

() 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

引用:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

例えば、給与以外の所得がソーシャルレンディングのみで、その所得が20万円を超えている場合は確定申告の義務が発生します。また、ソーシャルレンディングによる所得が20万円以下でも、株式投資やFXなどの他の投資と合わせて20万円を超える場合は確定申告が必要となります。これらの投資による所得の合計が20万円以下なら、確定申告は不要です。

他にも細かく条件が設定されているため、自身が当てはまるかどうかをきちんと確認しましょう。

確定申告の必要書類

ここでは、確定申告の手続きに必要な書類をご紹介します。 

年間取引報告書

ソーシャルレンディング事業者から提供される書類です。年間取引報告書には、確定申告の対象となる年の分配金の合計額や、源泉徴収額などが記載されています。なお、ソーシャルレンディング事業者によって「取引残高報告書」や「期間損益報告書」など名称が異なる場合もあります。 

年間取引報告書は、ソーシャルレンディング事業者のマイページからダウンロードして入手します。1月下旬から2月上旬頃にダウンロードが可能になりますが、ソーシャルレンディング業者によって時期は異なるので、複数の事業者で取引している人は漏れがないようにしましょう。 

経費になる書類

ソーシャルレンディング関係の書籍の購入代やセミナー代、セミナーへ行くのにかかった交通費などは経費として計上できます。経費を計上すれば所得額を減らせるため、計上する場合は領収書を管理しておき、提出しましょう。 

源泉徴収票

会社勤めの人は会社から渡される源泉徴収票を用意しましょう。2019年に確定申告する場合は、前年(2018112月分)の源泉徴収票が必要になります。 

その他の所得に関する書類

給与所得やソーシャルレンディングの分配金以外にも株やFXなどの投資の所得、不動産所得などがある場合は、それらの書類も用意しましょう。 

所得控除に関連する書類

受けられる所得控除がある場合は、それを証明する書類を提出しましょう。主な所得控除の対象は以下の通りです。

・生命保険料控除
・社会保険料控除
・地震保険料控除
・医療費控除
・勤労学生控除
・寄附金控除
・小規模企業共済等掛金控除
・雑損控除 

個人の書類

以下の個人の書類はなくても良い場合もありますが、税務署で確定申告する場合はなるべく持参しましょう。

・マイナンバー(カードもしくは通知書)
・本人確認書類
・印鑑
・金融機関の通帳

棒高跳び

Businessman jumping over tax in tax evasion avoidance concept

確定申告書の作成手順

確定申告書を自分で作成する方法は、必要書類を税務署に持参して担当者のアドバイスをもらいながら作成する方法と、国税庁のホームページから作成する方法の2つです。この2つの作成手順について説明します。

税務署で作成

必要書類を全て用意できたら確定申告書を作成し、税務署に提出します。確定申告書は税務署に用意されているものを使うか、国税庁のWebサイトからダウンロードして印刷したものを使います。このとき、担当者の助けを借りて確定申告の手続きを行うことも可能です。地域によっては税務署以外の特設会場を設けている場合もあるので、担当地域の税務署のWebサイトで確認しておきましょう。 

パソコンで作成

国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、自宅で確定申告書を作成できます。作成後の提出方法には、インターネットで提出、印刷して税務署に持参、印刷して郵送の3つがあります。なお、インターネット提出の際にはマイナンバーカードの読み取りが必要です。カードに記録されている電子情報を読み込むための機器である「ICカードリーダライタ」を用意する他、簡単に無線通信ができる「NFC対応」のスマホを使って読み取ることもできます。

 

国税庁の確定申告書作成コーナーから以下の手順で作成しましょう。

1.「確定申告書作成コーナー パソコンで申告書等を作成される方」をクリック
2.「申告書・決算書・収支内訳書等 作成開始」をクリック
3.「書面提出」をクリック
4.チェック項目を確認し「事前準備終了 次へ」をクリック
5.「所得税コーナー」をクリック
6.左記以外の所得のある方(全ての所得対応)の「作成開始」をクリック
7.必要な情報を記入する

住民税の申告義務

ソーシャルレンディングで利益を得た際に注意したいのが、住民税の申告です。

会社から給与所得を得ている場合、給与所得分に関しては住民税が引かれて支給されるため、住民税の申告義務はありません。しかしソーシャルレンディングなどで利益がある場合、所得税は引かれますが住民税は引かれないため、ソーシャルレンディングの利益分は住民税を納めていないことになります。住民税を新たに納税しなければ脱税となってしまうため、必ず申告しましょう。

なお、確定申告を行った場合は住民税も含めた税金が再計算されているため、新たに住民税の申告をする必要はありません。 

ソーシャルレンディングで利益を得た場合の確定申告

ソーシャルレンディングで利益を得た場合でも、確定申告が不要になるケースがあります。ただし、確定申告を行えば分配金から源泉徴収された所得税の一部が還付されることがあるため、節税したい場合は確定申告をしましょう。なお、確定申告をしないという場合はソーシャルレンディングの利益分の住民税を申告する必要があるため、その点でも確定申告をしておくのがおすすめです。

確定申告は手続きが面倒なイメージがありますが、難しいものではありません。この記事を参考に、納税の漏れなく安心してソーシャルレンディングに投資できるようにしましょう。

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