ソーシャルレンディングとは、資金の貸し手と借り手をマッチングさせる金融サービスのことです。ソーシャルレンディング事業者がパイプ役となり、資産運用がしたい投資家からWeb上で資金を集めて、資金を求める企業に融資を行います。ソーシャルレンディングは少額からの投資が可能な他、条件を満たしていれば気軽に始められるため、投資初心者からも人気です。

そんなソーシャルレンディングには、貸し倒れのリスクもあります。貸し倒れとは、融資を受けた企業の事業が立ち行かなくなり、融資金の返済ができなくなることです。投資家にとっては利益を得られないだけでなく損失を被ることにもなるため、ソーシャルレンディング事業者の実績や担保の有無などをあらかじめ確認し、貸し倒れのリスクを最小限に抑えましょう。

実際に貸し倒れ(デフォルト)はおきているのか

業界全体の貸し倒れ率は1.47%程度だと言われています。ただしこれは企業向けローンファンドでの話です。ソーシャルレンディングが広がり初めた当初は企業に融資するだけでなく、個人に融資する案件もありました。ですが個人向けファンドで何件か貸し倒れが発生したため、業界全体で徐々に企業向けファンドのみを取り扱うようになっています。

また、貸し倒れが発声すると必ず元本割れとなるわけではありません。案件の内容によっては複数の企業が資金を借りる形になっているケースがあります。そういった場合、一部の企業が返済不能となっても、他の企業の返済金があるため全額ではなく一部損失となります。
こういったケースの他にも担保などで補填する場合も全額損失とはなりません。

貸し倒れのリスクは常に存在するため、そのリスクが高いのか許容できる範囲なのかも考えながらソーシャルレンディングに投資しましょう。

返済遅延は発生している

貸し倒れではなく、返済遅延を見ていると各事業者でたびたび発生しています。返済が遅れたものの無事償還された案件もあれば、そのまま貸し倒れとなったケースもあるようです。

返済遅延が発生した場合、ソーシャルレンディング事業者は担保の任意売却、不動産競売などで資金の回収を図ります。返済遅延が発生した、回収の見通しがある、回収状況の報告などはソーシャルレンディング事業者のホームページで告知されます。
ソーシャルレンディングのリスクを100%避けることは現状不可能です。そのためトラブルが発生した際の、対応の早さ、報告の丁寧さも事業者選びのポイントとなるでしょう。

 貸し倒れのリスク回避はソーシャルレンディング事業者選びから

貸し倒れのリスクを抑えるためには、信頼できるソーシャルレンディング事業者(以下、事業者)を選ぶことが大切です。事業者の実績や担保の有無だけでなく、以下のポイントも確認しておきましょう。

大手企業か新興企業かを確認

事業者は、大手企業と新興企業の2つに分けられます。
資本のバックアップや責任の所在が明らかな大手企業は信頼感があり、豊富な実績があることに加えて顧客満足度が比較的高いので安心です。ただし、大手企業で取り扱う案件はローリターンであることが多い傾向にあります。そのため投資初心者の方など、利回りの高さよりも安定性を重視する方におすすめです。
一方、新興企業はハイリターンの案件を多く取り扱っています。実績が少ないため安定性は未知数ですが、積極的に利回りの高い案件へ投資したい方におすすめです。

 累計資金調達額を確認

事業者を選ぶ際は、実績と合わせて累計資金調達額も確認しましょう。
累計資金調達額はこれまでに成立させてきた案件の金額を示すもので、実績を把握する上で非常に重要な指標となります。また事業者の安定性を把握する上でも重要で、累計資金調達額が多い事業者は貸し倒れのリスクも少ないといえます。
累計資金調達額は事業者の公式ホームページやランキングサイトなどで確認できるため、事業者選びの判断材料にしましょう。なお、事業者によって「累計調達額」「ローン総額」など表記が異なるという点も把握しておいてください。

株主を確認

事業者の中には上場企業を株主に持つところもあります。また大手企業と比べて実績が少なく、安定性に欠けるといわれる新興企業においても、なかにはベンチャーキャピタルから出資を受けているところもあります。ベンチャーキャピタルとは、将来性の高い有望なベンチャービジネスを扱う企業に対して出資を行う投資企業のことです。
上場企業やベンチャーキャピタルなどに投資してもらうには、事前に厳しい審査をクリアしなくてはなりません。さまざまな調査を受け、信頼できる企業だと認められて初めて株主となってもらうことができるのです。つまり上場企業やベンチャーキャピタルを株主に持つ事業者は一定の信頼感があり、貸し倒れのリスクも少ないと判断できます。

他にも、設立時の資本金が潤沢であることもひとつの判断基準となるため、公式ホームページを確認しておきましょう。

利回り・運用期間に応じて貸し倒れのリスクは変動する 

事業者だけでなく、案件の利回りや運用期間にも注目することで貸し倒れのリスクをさらに軽減できます。

高利回りは貸し倒れのリスクにつながる

ソーシャルレンディングには、810%の高利回りの案件が多いという特徴があります。ハイリターンを狙うには最適ですが、同時に貸し倒れのリスクも高くなることを理解しておきましょう。
利回りが高いということは、融資先である企業にとって返済時の負担が大きいことを意味します。これにより、返済が滞ったり完済が未達になったりして返済不履行のリスクが高まり、貸し倒れが発生するケースもあるのです。そのため案件を選ぶ際は、利回りだけでなく募集内容も確認して、完済できる企業かどうかを見極めることが大切です。

運用期間によって貸し倒れのリスクは変動する

一言でソーシャルレンディングといっても、案件によって定められた運用期間はさまざまです。13ヶ月程度の短期の案件から、23年の長期の案件まであります。貸し倒れの観点から長期・短期運用の案件の傾向を確認しましょう。

長期運用は貸し倒れリスクが高くなる

長期運用の案件は景気の変動を受けやすく、企業の経営状況が悪化することで融資の返済にも悪影響を及ぼす可能性があります。海外から受けたソーシャルレンディングの案件の場合、カントリーリスクが発生することもあるので特に注意しなければなりません。

カントリーリスクとは、政治・経済の状況の変化によって起こりうる資産の価格変動のことです。政治・経済を揺るがす恐れのある出来事としては、例えば紛争やクーデターなどがあります。
金融商品の中でも、特にカントリーリスクの影響を受けやすいのが債権です。政治・経済の状況の変化により証券市場や為替市場に混乱が生じると、保有している債券の価値が急激に下落する可能性があります。また返済不履行により、多大な損失を被る可能性も考えられます。

カントリーリスクの他、案件によっては台風などの自然災害によって利益が得られなくなる場合もあります。長期運用になるほど上記のようなリスクが高くなるため、貸し倒れが心配という方には短期運用の案件がおすすめです。

短期運用案件を選んで貸し倒れを避ける

短期運用の案件の最大の特徴は、投資してから返済されるまでの期間が短いため分配金を早く得られるという点です。また短期間のうちに融資と返済が行われるので、景気の変動による影響を受けにくいのも特徴のひとつです。短期運用の案件を選べば融資先の業績不振に巻き込まれずに済むため、貸し倒れが発生するリスクを軽減できます。

ただし、短期運用が短いと受け取れる分配金の総額が少なくなるという難点もあります。貸し倒れのリスクと分配金のバランスを図りながら、信頼できると判断した案件を選びましょう。

案件を選ぶ際は担保も確認しよう

担保のある案件を選ぶことで、貸し倒れが起きた際に損失を補償してもらうことができます。ソーシャルレンディングの案件を選ぶ際は、担保の有無と事業者がどのような担保を確保しているのかを確認しましょう。

担保の重要性

貸し倒れが起こった場合、担保のある案件を選んでいれば、事業者の措置として担保の売却益による補償を受けられます。
担保とは、万が一の事業失敗に備えて投資家の金銭的損失を補うために設けられるものです。企業が所有する機材や不動産、権利などの金銭的な価値があるものが対象で、返済不能に陥った際に売却して損失分を補填します。貸し倒れのリスクを最小限に抑えて資産を守るためにも、担保が設定されている案件を選ぶよう心がけましょう。

担保のない案件もある

高利回りの海外の案件を多く扱う代わりに、あえて担保を設定しないという事業者もあります。海外は日本と違い金利を20%以上に設定できるため、ハイリターンを狙う方にはおすすめです。しかし融資先の返済負担が増える分、返済不履行のリスクも高いといえます。さらに担保が設定されていないために損失額も膨大になる可能性が高いので、あらかじめ案件の担保の有無を確認しておく必要があります。

換金性の低い担保は避ける

担保には融資先の企業が持つ債権や営業権などの権利、機材や設備などさまざまな種類があります。なかには価値が変動しやすいものや売却につながりにくいものもあるので、担保が設定されているからと安心せずに担保の内容を事前に確認しましょう。
例えば債権や営業権は、売却されるまでの期間中に市場の影響を受けて価値が下落する可能性があります。また機材や設備は、型落ちや市場の事情によって査定時よりも価値が下落したり、買い手が見つからなかったりして充分な補償金が得られない場合もあります。そのため、債券や営業権、機材などの換金性の低い担保を設定している案件は避けることをおすすめします。

信頼できる担保でも貸し倒れになる場合も……

土地や建物といった不動産は市場での需要が安定している上、急激に価値が下落するのは稀なため、担保としての信頼性が高いのが特徴です。また需要の高まりによる価格高騰も期待でき、事業者の方針によっては補償金が上乗せされる見込みがあります。

ただし、不動産を担保にしている案件にも貸し倒れのリスクはあります。例えば、担保として設定されていた不動産の評価額が投資額を下回っている場合です。過去の事例には、担保である不動産の評価額が融資先の独自基準で査定されていたことで、貸し倒れの補填に不充分だったケースもあるのです。

参考:ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について:証券取引等監視委員会

行政処分を受けた事業者もいる背景から、近年では不動産担保の査定を第三者機関に依頼し、担保の評価額の正当性を確保するために注力している事業者もあります。貸し倒れのリスクを抑えるためには、担保の内容だけでなく事業者の経営体制にも目を向けましょう。

貸し倒れのリスクはゼロじゃない!案件選びは慎重に

ソーシャルレンディングをはじめ、融資型の金融取引では貸し倒れのリスクがつきまといます。リスクをゼロにすることはできませんが、ポイントを押さえた上で正しい事業者選び・案件選びをすれば、リスクを軽減することは可能です。事業者選びにおいては企業の規模や実績、株主の信頼性などを確認しておくこと、そして案件選びにおいては利回りや運用期間、担保の有無や担保評価額の正当性などを確認しておくことが大切です。
貸し倒れのリスクについて理解し、正しい知識を得た上でソーシャルレンディングに挑戦しましょう。

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